羽ばたくポエム & 難病と共に

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デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィー

2009.07.15 Wednesday
神経筋難病情報サービスから抜粋
デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィーについて


筋ジストロフィーのうち最も数の多いデュシェンヌ型筋ジストロフィーは、性染色体劣性遺伝といって男だけに発症するタイプであることは早くから知られていました。デュシェンヌ型やベッカー型筋ジストロフィーは別名仮性肥大型筋ジストロフィーとも呼ばれます。仮性肥大というのは筋肉が正常よりもたくましく肥大してはいるが、実際の筋力は正常より減弱しているという意味なのです。
 ドイツのベッカーは、デュシェンヌ型と同じように性染色体劣性遺伝型ではあるが、デュシェンヌ型筋ジストロフィーとは異なり良性の経過をとる仮性肥大型筋ジストロフィーが存在することを1955年に記載しました。それ以来この病気は良性デュシェンヌ型筋ジストロフィーとも呼ばれてきました。近年デュシェンヌ型筋ジストロフィーの遺伝子が解明されて、ベッカー型筋ジストロフィーも同じ遺伝子の異常で発現することが明かとなり、両者には経過の上で悪性(デュシェンヌ型)と良性(ベッカー型)という違いはあるものの本質的には同一疾患であると考えられるようになってきています。そのために最近ではデュシェンヌ /ベッカー型筋ジストロフィーとして一括して語られるようになっています両者の違いは、筋ジストロフィー遺伝子の障害され方が違うのです。デュシェンヌ型筋ジストロフィーでは筋ジストロフィー遺伝子により作られるタンパク質のジストロフィンが消失しますが、ベッカー型では異常ながらも蛋白質が形成されるので良性の経過をたどることができるのです。



デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィーは、どのくらいの頻度で患者が発生するのでしょうか?


デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィーはX染色体に存在する筋ジストロフィー遺伝子(ジストロフィン遺伝子)の異常により発症します。一定の人口について発生する患者数は世界中で同じであり、特定地域における集積性は無いとされています。遺伝学的には1/3の症例が突然変異で発症し、2/3の症例は性染色体劣性遺伝で発生します。


デュシェンヌ型の発生率は出産男子100万人について140ないし390といわれています。ベッカー型はデュシェンヌ型の約1/10ないし1/5程度とされています。



デュシェンヌ型では中途で病気の進行が止まる症例はないとされており、いったん発症すれば平均20歳程度で死亡してしまうという病気です。しかし、ベッカー型では臨床症状のない症例の存在や、筋痛のみで筋力が低下しない家系の存在などが知られるようになり、研究の進展とともに疾患概念は変化しつつあります。



女性では性染色体劣性遺伝型筋ジストロフィーは発症しないはずなのですが、ターナー症候群といってX染色体が一つしかない女性患者が存在します、この一つしかないX染色体上の筋ジストロフィー遺伝子が異常となり、デュシェンヌ型となった症例が報告されています。また、筋ジストロフィー遺伝子の場所で染色体が分離して、この部分が他の染色体について(相互転座といいます)発症した女性デュシェンヌ型の存在が1977年に知られました。この症例を女性デュシェンヌ型筋ジストロフィーといいます。女性デュシェンヌ型では、X染色体が女性ですから2つ持っているわけです。このため健常なジストロフィン遺伝子も存在しており、健康な遺伝子の作用がが抑制されてデュシェンヌ型を発症するメカニズムはまだ良くわかりません。一方、女性保因者(X染色体は2つありますから一方の筋ジストロフィー遺伝子が異常でも通常は患者となりません、これを保因者と名付けます)の発症も問題になります。正常な体細胞にはX染色体が一つだけ存在(リヨンの仮説)しており筋ジストロフィー遺伝子が異常なX染色体が筋細胞に高率に存在すれば筋ジストロフィーとなると説明されています。


2009.07.04 Saturday
パート1 筋ジストロフィー「概要」
  筋ジストロフィーは珍しい遺伝による筋肉の病気の一種で、筋肉の繊維が異常に損害を受けやすい特徴があります。はじめに随意筋が徐々に弱ってきます。筋ジストロフィーの後の段階では、脂肪・結合組織はしばしば筋肉繊維に取って代わります。筋ジストロフィーの中には、心臓の筋肉、他の不随意筋、他の組織に影響を与えるものもあります。


 筋ジストロフィーの原因は、筋内タンパクジストロフィンの遺伝的欠損が主です。


 筋ジストロフィーのタイプは治療法がありませんが、医薬品やリハビリテーションによって病気の進行を遅らせることは可能です。


筋ジストロフィーとは


 筋ジストロフィーは、19世紀に発見された筋肉の萎縮に伴う身体機能の低下が見られる病気です。
 いくつかの種類があり、進行速度や症状の現れ方などが異なります。


原 因


 多くの筋ジストロフィーの原因となるのは、「ジストロフィン」という筋肉を正常に機能させるために欠かせないたんぱく質を生成する遺伝子の異常です。ジストロフィンを生成する遺伝子は性染色体であるX染色体に含まれており、筋ジストロフィーの患者にはX染色体の異常が多く見られます。X染色体は、男性が一つに対して女性は二つ保有しているため女性には筋ジストロフィーが発病しにくい理由にもなっています。




種 類
  筋ジストロフィーは、症状ごとに分類されています。


☆ デュシェンヌ型


 デュシェンヌ型筋ジストロフィーは、進行性の筋ジストロフィーの中でも最も症例が多く見られます。昔は「20歳まで生きられない」と言われるほどの難病でしたが、医療の進歩によって20歳を越えて生存できるほどになってきています。


☆ ベッカー型


 ベッカー型筋ジストロフィーは、筋ジストロフィーの中でも発症が遅く軽度の症状を示します。これは、原因となるジストロフィンの生成が少量ながら行なわれていることによるものです。


☆ 肢 帯 型


 肢帯型筋ジストロフィーは、男女共に発症する筋ジストロフィーで緩やかな進行を見せます。稀に、デュシェンヌ型のような急激な進行を見せる場合があります。肢帯型筋ジストロフィーの原因になるのは、性染色体ではなく常染色体と呼ばれる性別以外の部分を決定する染色体であることが判っています。


☆ 顔面肩甲上腕型


 顔面肩甲上腕型筋ジストロフィーは、胸から上の顔面・肩・上腕部に症状が現れます。原因が肢帯型筋ジストロフィーと同じ常染色体なので、男女共に発症します。特徴は「ポパイの腕」と呼ばれる上腕部のみの萎縮や、目を開けたまま寝るなど症状があります。


☆ 福 山 型


 福山形筋ジストロフィーは常染色体を原因とする、男女関係無く発症する筋ジストロフィーの中で最も重篤な症状を示します。福山型筋ジストロフィーは、日本で確認される筋ジストロフィーの中で最も多く、「フクチン」と呼ばれるたんぱく質を生み出す遺伝子異常が原因とされています。福山型の特徴は、「脳障害を伴う」という他の筋ジストロフィーには見られないものです。筋萎縮・筋力低下による運動障害だけではなく、精神遅滞や痙攣などの症状を伴います。



筋ジストロフィーの治療


 基本的に、筋ジストロフィーの根治治療法は存在しません。対症療法での延命を行なっていく場合がほとんどで、ストレッチ体操による筋力低下の緩和などを行なっていきます。


☆ 最新の治療


 近年、デュシェンヌ型筋ジストロフィーに効果を挙げている治療法に、ステロイド剤による副腎皮質ホルモン投与があります。原理は解明できていませんが、副腎皮質ホルモンの投与によって、症状の緩和と筋力増強が期待できます。また、筋ジストロフィーは遺伝疾患による病気なので、遺伝子治療による根治治療法の研究が進められています。